Gemini 3.8 Flash vs Muse Spark 1.3 比較 2026:公式料金は $0.75/$3.75 と $1.25/$4.25、メタの最高モードはまだ呼べない
2026年9月2日、グーグルの Gemini 3.8 Flash と、その数時間後に出たメタの Muse Spark 1.3。両社の公式料金ページを自分で開いて確認した実数と、メタの目玉スコアが今は呼び出せない max モードのものだという事実をまとめた。
新しいモデルが出ると、たいていはベンチマーク表から見る。今回は順番を逆にしてみた。9月2日にグーグルが Gemini 3.8 Flash を公開し、その数時間後にメタが Muse Spark 1.3 を出したので、両社の公式料金ページを自分で開いて数字を拾った。結果は Gemini 3.8 Flash が100万トークンあたり入力 $0.75・出力 $3.75、Muse Spark 1.3 が $1.25・$4.25。ただしグーグルの数字は 2026年12月31日までで、2027年1月1日にちょうど2倍になる。この一行がほぼ結論だ。

なぜ6週間で3本目の Flash なのか
グーグルの発表文には出荷ペースがそのまま書いてある。3.7 Flash が3週間前、そして今回が6週間で3本目の Flash だ。モデルを大きくするのではなく、同じ速度・同じ価格帯のまま推論とコーディングを押し上げる路線を選んだということになる。
今回は2種類。長時間のソフトウェア開発と自律エージェント向けの 3.8 Flash、そして脆弱性の発見と自動パッチに特化した 3.8 Flash Cyber だ。後者は誰でも使えるわけではなく、新設の Fairwind プログラムで承認された政府機関・重要インフラ事業者・ソフトウェア保守者だけに開かれている。
数字を見ると、3.8 Flash は HLE-Verified で54.9%。Cyber 側は20のプログラミング言語にまたがる社内ベンチマークで成功率70%超を記録した。導入事例が具体的なのも珍しい。Chrome セキュリティチームでは、はるかに大きな商用モデルより正しいパッチを2.6倍多く得られ、クラウド脆弱性研究チームは通常なら数か月かかる重大な欠陥を2時間以内に見つけたという。
料金ページには実際どう書いてあるのか
ここからが実測だ。グーグルの料金ページの 3.8 Flash 欄はこうなっている。

入力 $0.75、出力 $3.75、コンテキストキャッシュ $0.075。どれにも「through December 31, 2026」という但し書きが付き、そのすぐ下に2027年1月1日からの $1.50 / $7.50 / $0.15 が並んでいる。無料枠は今も残っている。
メタ公式の「Models and pricing」の表も同じくらい率直だ。

| モデル | コンテキスト | 入力(1M) | キャッシュ入力 | 出力(1M) |
|---|---|---|---|---|
| muse-spark-1.3 | 1M | $1.25 | $0.15 | $4.25 |
| muse-spark-1.3-contributor | 1M | $0.10 | $0.002 | $0.20 |
| gemini-3.8-flash | — | $0.75 → $1.50 | $0.075 → $0.15 | $3.75 → $7.50 |
contributor ティアは驚くほど安い。その理由は行名のすぐ下に書いてある。「Used to improve our products」——プロンプトが学習に使われるという意味だ。社内コードや顧客データを流すパイプラインなら、価格よりこの一行を先に読んだほうがいい。なお両社とも表示は米ドル建てで、実際の請求額は地域の通貨や税制で変わる。
メタの1754点は、そのまま信じていいのか
メタのベンチマーク表は見栄えがする。GDPval-AA v2 1754、DeepSWE v1.1 75.4、Terminal-Bench 2.1 88.8、MRCR 512K–1M 98.1。1.2世代の1615からは確かに大きく伸びた。
問題は列の見出しだ。これらはすべて (max) の結果で、max 推論モードは追加の安全性テストが終わっておらず、まだ開発者に開放されていない。今日 API から呼べるのは一段下の xhigh である。先月Muse Spark 1.2 を取り上げたときと構図がよく似ている。発表資料の最高スコアと、手元で動かせるモデルが一段ずれたままなのだ。
実際に呼べるティア同士で比べると差はぐっと縮む。第三者機関 Artificial Analysis によれば、Muse Spark 1.3 xhigh は知能指数61でタスクあたり $0.55、Gemini 3.8 Flash(high)は59で $0.58。速度はグーグルが毎秒約305トークンで、メタの235より3割ほど速い。
日本語ドキュメントにはまだ 3.8 がない
小さな発見をひとつ。グーグルの料金ページを日本語で開くと、モデル一覧が 3.6 Flash で止まっている。3.7 も 3.8 もない。韓国語も同様で、英語に切り替えてはじめて 3.8 Flash の表が現れる。あなたが最新モデルの単価を確認するときは、まず言語を英語に切り替えたほうが安全だ。翻訳版は数日から数週間遅れる。
で、どちらを選ぶか
エージェントを長時間回すワークロードなら、今のところグーグルが安くて速い。ただし原価表に $0.75 を固定値で入れてはいけない。隣に「導入価格・1月に倍」と書き添えておかないと、年明けに計算が狂う。
逆にプロンプトが学習に使われても構わない実験や個人プロジェクトなら、メタの contributor ティア($0.10 / $0.20)に対抗できるものはない。コーディングエージェントを日々の作業に組み込む流れはCursor の記事へ、デスクトップでモデルを常駐させる感覚はGemini Spark on macOS の記事へつながる。
よくある質問
Q. Gemini 3.8 Flash の料金は? 公式料金ページによると100万トークンあたり入力 $0.75、出力 $3.75。ただし2026年12月31日までの導入価格で、同じページに2027年1月1日から $1.50 / $7.50 と明記されている。
Q. Muse Spark 1.3 は Gemini 3.8 Flash より高性能? メタが掲げる最高スコア(GDPval-AA v2 1754 など)は、まだ呼び出せない max モードのものだ。今日使える xhigh で比べると第三者計測で61対59とほぼ拮抗し、出力速度はグーグルが約3割速い。
Q. contributor ティアは使っても大丈夫? 入力 $0.10・出力 $0.20 と破格だが、メタ自身の表に「製品改善に使用」と記されている。プロンプトが学習に使われるため、機微なコードや顧客データには向かない。
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